私の依頼主さん。
ここにいる女の子は、全員20代前後。

3年後には、必ず誰かに買われていく。


やっと自分の席に戻り、食事を摂る。

今日はシチューだった。


――カンカン、カンカン。

いきなり独特のベルが響く。

それは放送の合図だった。


『明日は見学会だ。
午後はその為の準備を行う。
以上。』


野太いあの人の声だった。

途端に部屋の空気が重くなる。


『どうしよう』

『あの豚にだけは雇われたくないよね…』


口々に不満を漏らす彼女たち。


見学会とは、依頼主が私たちを見て買い取る事。

まるで、ペットショップの犬みたいに。


そして"豚"とは、ここのお得意様らしい中年の太った田村様の事だった。


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