私の依頼主さん。
『中川ー!!』

――ドンッ。

鈍い痛みと共に、あの人の罵声が飛ぶ。


今は、明日の為の接客技術を身に付ける時間だった。

私は「すみません」と小さく呟いた。

この時間だけは、どうしても苦手…。

他の子みたいに、ニコニコできるわけがない。


『笑え!!』

――ごめんなさい。


『言う事を聞かんかー!』

――すみません。
私はもう笑えない。


午後はずっと殴られ続け、周りの子達は嬉しそうに笑っていた。


なんとか午後の授業が終わり、体は全身アザだらけになった。


食事を摂る気にもなれず、私はすぐお風呂に入ってボーッと時間を過ごし、22時にあの人の部屋に行った。


―コンコン。

『…入れ』


中から野太い声がしたので、静かにドアを開ける。
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