異本 殺生石
そしてまた二人は驚愕のあまり息を呑んだ。それは確かに人間にしか見えなかった。体にピッチリと合った薄いメタリックブルーのライダースーツみたいな服を着た、髪の長い女性、いや少女と言った方がいいだろう、それがよろよろとした足取りで地面に降り立ち、そしてそのままばったりと倒れこんで動かなくなった。
先に足を踏み出したのは陽菜の方だった。だから男勝りだとか言われるのだが、こういう異常事態でも行動に出るのは陽菜がいつも最初だった。つられたように玄野も後に続く。そしてその謎の少女を陽菜が抱き起こし、そこでまた二人は驚いた。
腰まで届きそうな長い髪は金髪、それも淡いプラチナブロンドというやつ。そして唯一むき出しになっている顔の肌が異常なまでに白い。一瞬外国人かと思ったが、陽菜は違和感を禁じ得なかった。その顔立ちはどう見ても白人のそれではなく、二人と同じようなアジア系のそれだった。はっきり言えば日本人にしか見えない。
謎の少女は苦しげにうめき声を上げ、かすかに目を開いて日本語で、そう日本語で、陽菜に問いかけた。
「ここは、今は西暦何年?」
あまりの驚きの連続に声も出せない陽菜に代わって、玄野が陽菜の背後から顔をつき出して答えた。
「2011年……だけど?」
少女は陽菜の腕の中でまた苦しげに身動きし、左腕に巻いているデジタル腕時計に似た機械を震える指で何度か押した。するとあの宇宙ロケットみたいな物体は音もなくすうっと上空数メートルに浮かび上がり、そしていきなり姿を消した。
その動作だけでも体中の力を振り絞ったのだろう。謎の少女は今度こそ完全に気を失って陽菜の腕の中に沈み込んだ。
先に足を踏み出したのは陽菜の方だった。だから男勝りだとか言われるのだが、こういう異常事態でも行動に出るのは陽菜がいつも最初だった。つられたように玄野も後に続く。そしてその謎の少女を陽菜が抱き起こし、そこでまた二人は驚いた。
腰まで届きそうな長い髪は金髪、それも淡いプラチナブロンドというやつ。そして唯一むき出しになっている顔の肌が異常なまでに白い。一瞬外国人かと思ったが、陽菜は違和感を禁じ得なかった。その顔立ちはどう見ても白人のそれではなく、二人と同じようなアジア系のそれだった。はっきり言えば日本人にしか見えない。
謎の少女は苦しげにうめき声を上げ、かすかに目を開いて日本語で、そう日本語で、陽菜に問いかけた。
「ここは、今は西暦何年?」
あまりの驚きの連続に声も出せない陽菜に代わって、玄野が陽菜の背後から顔をつき出して答えた。
「2011年……だけど?」
少女は陽菜の腕の中でまた苦しげに身動きし、左腕に巻いているデジタル腕時計に似た機械を震える指で何度か押した。するとあの宇宙ロケットみたいな物体は音もなくすうっと上空数メートルに浮かび上がり、そしていきなり姿を消した。
その動作だけでも体中の力を振り絞ったのだろう。謎の少女は今度こそ完全に気を失って陽菜の腕の中に沈み込んだ。