異本 殺生石
ちょうどその時、一羽のフクロウがどこからか飛んできて、金属容器の真上に差しかかった。その鳥は宙で急に耳をつんざくような鳴き声を出し、そのまま金属容器のすぐ側の地面にポトリと落ちてそのまま動かなくなった。
武者と雑兵たちがそれを見てまた恐怖の声を上げた。強烈な放射線を浴びて即死したのだと陽菜たちには分かった。アベがここぞとばかり声を張り上げる。
「あれは妖孤の死骸に相違ない。死して石に変じ、そして死してもなお、ああして近づく者の命を奪う瘴気を発しているのでございます」
「なんと!いかに妖怪とは言え、死骸が石になるとは信じがたい。しかも、近づくだけで命を奪うと言われたか?いや、にわかには信じられぬ」
「権守殿、そこな二人の雑兵の有様が何よりの証拠でござる」
そう言ってアベは地面に転がっている二人に近づき地面に膝をついてのぞきこんだ。
「権守殿、こちらの者は既に息絶えておりまする。もう一人もおそらく夜明けまではもちますまい」
権守と呼ばれた男はまだ信じられないという表情で茫然とした口調でつぶやいた。
「生けるものをことごとく殺す石……殺生石とでも言うべきか」
「権守殿!あの石の周りに常時見張りを立て、出来れば柵を巡らし、何びとたりともあれの一里四方に近づけぬようお取り計らいを。さもなくば、この先大勢の者があの瘴気で命を落とす事になりまする」
アベの言葉にハッと我に返った権守は周りの武者たちに声を張り上げた。
「今の陰陽師殿のお言葉、聞いておったであろう?ただちにそのように手配せよ!」
「は、はっ!」
と叫んで武者と雑兵たちは四方に散って行った。権守はアベにまた一礼し言った。
「では、われも館に戻り手配にかかりまする。これにて御免」
武者と雑兵たちがそれを見てまた恐怖の声を上げた。強烈な放射線を浴びて即死したのだと陽菜たちには分かった。アベがここぞとばかり声を張り上げる。
「あれは妖孤の死骸に相違ない。死して石に変じ、そして死してもなお、ああして近づく者の命を奪う瘴気を発しているのでございます」
「なんと!いかに妖怪とは言え、死骸が石になるとは信じがたい。しかも、近づくだけで命を奪うと言われたか?いや、にわかには信じられぬ」
「権守殿、そこな二人の雑兵の有様が何よりの証拠でござる」
そう言ってアベは地面に転がっている二人に近づき地面に膝をついてのぞきこんだ。
「権守殿、こちらの者は既に息絶えておりまする。もう一人もおそらく夜明けまではもちますまい」
権守と呼ばれた男はまだ信じられないという表情で茫然とした口調でつぶやいた。
「生けるものをことごとく殺す石……殺生石とでも言うべきか」
「権守殿!あの石の周りに常時見張りを立て、出来れば柵を巡らし、何びとたりともあれの一里四方に近づけぬようお取り計らいを。さもなくば、この先大勢の者があの瘴気で命を落とす事になりまする」
アベの言葉にハッと我に返った権守は周りの武者たちに声を張り上げた。
「今の陰陽師殿のお言葉、聞いておったであろう?ただちにそのように手配せよ!」
「は、はっ!」
と叫んで武者と雑兵たちは四方に散って行った。権守はアベにまた一礼し言った。
「では、われも館に戻り手配にかかりまする。これにて御免」