ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
そう言えば、しのぶは今日、
何のために何処に出掛けたのだろうか。
そして、再び彼女と出合う事が
出来るのだろうか……

神様の気まぐれで再会を果たした。
それだけの関係で無い事を
純は心から祈った処で、
部屋のドアがノックされた。

純は、ちょっとめんどくさそうな声で返事をすると、
人が顔を出せる程度にドアが開かれ、
一人の女性が顔を出した。

「純君、夕食、作っておいたから、
後で適当に食べてね」

笑顔でそう言ったのは、
父親の原稿を催促に来た
出版社の女性だった。

栗色のポニーテールが印象的で、
細かい事をあまり気にしない彼女は
毎月純の家に来て
ついでに食事の用意をしくれるのだった。
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