ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
昼休みの教室は学生達の喧騒で満ちている。純も悪友達と三人で昼食を共にしていた。高校生の男子三人が集まれば話題はおのずと女性の話になりがちだった。

そして純は、その体験を自慢げに話す友人の横顔をぼんやりと眺めて居た。

「純、どうしたんだ、さっきから黙りこんで」

その言葉に純は慌てて彼に向かって場を取り繕うために

「いや、そんな事は……」

そう言ってはみたが、ここ最近考える事と言うと、あの家で身たしのぶの悲しそうな姿だった。

「なんだよ、元気ねぇなぁ。そう言う時は酒でも呑んでぱあっと忘れちまうんだよ」

「酒?」

「ああそうさ、大人達の常套手段じゃないか。酔っぱらって憂さを晴らすのさ、すかっとね」

能天気に笑い飛ばす友人を横目で見ながら、純はぽつりと呟いた。

「ああ……そうか……」
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