ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
純はしのぶの前では大人で有りたかった。古い考えかも知れないが男は女を守る物と自覚するのが大人の男だとも。

 一件目の居酒屋で食事しながら少し呑んで、その後、しのぶの知合いと言うスナックに入った。子供扱いされるのが嫌だった純は勧められるままにグラスを空けて行く。

その様子をしのぶは何も言わずに見詰めて居た。

          ★

風が少し強かった。純としのぶは、近くの川の土手に居た。

「ほら、大丈夫か?」

しのぶは微笑みながら半分酔い潰れて地面に座り込む純を見下ろしていた。

「――ひ、卑怯だぞ、俺にばっかり呑ませて、自分は全然呑まないし……」

「ちゃんと呑んだわよ。純とおんなじ」

純は座ったまましのぶを見上げる。
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