ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
「女の呑んべは意外と怖いのよ、覚えておいてね」

しのぶの言葉に純は何も言い合えす事が出来なかった。

「さ、帰ろう、未成年、保護者付き」

純はその言葉を聞いても地面から立ち上がる事が出来なかった。

「――酔っぱらわせて、やっちまうって作戦だったのに……」

純の言葉にしのぶは顔を伏せて苦笑する。

「だったら、こんな回りくどい事をしないで、もう一度お店に来た方が良かったかもね」

秋の夜空は星の瞬きに寄り添いながら深けて行く。

「でもね、純……嬉しかったわ、私なんかを誘ってくれて。こんな私の事を心配してくれて」

しのぶはそう言いながら純の横に腰を下ろすと膝を抱えて蹲った。
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