ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
「正直言うと、もう、どうなっても良いって思ってたのよ。私は結局、気前よくお金を出してあげるだけのスポンサーであって、決して恋人になれている訳じゃ無かったのよ」

そう言いながら顔を伏せて居るしのぶを見ながら

「――しのぶ……」

純は少し強い口調……

「自分の事『自分なんて』とか言うな」

 しのぶはその一言を聞いて改めて純に視線を移す。そして純は躊躇う事無くこう言った。

「好きだ……俺、しのぶのこと…」

口を突いて出た言葉に嘘は無い。

純はしのぶの事を本気で好きだと感じて居た。しかし、しのぶは悲しそうな微笑みを浮かべて

「――お金で自分の体を男に売る女よ……私に人並みの恋愛をする資格は無いのよ」
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