ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
しのぶはコーヒーカップをテーブルに置くとゆっくり純に向かって歩きだす、純も何故か、その様子をじっと見詰めて居る事しか出来なかった。

「幸せには色々な形が有ると思うな」

しのぶの言葉は酷く自信なさげだった。

何時もは年上の女性らしい落ち着いた口調で話すのだが、この言葉はには全く自信が持てて居ない。

「不幸だって色々な形が有るんじゃないのか?」

純の言葉にしのぶは何も答えなかった。その寂しそうな微笑みを見て居ると純の心は千々に乱れる。その感情は自分の中に収めておく事が出来ずに思わずしのぶを抱き寄せた。

そして、彼女のあまりの線の細さに純は改めて驚いた。痛々しい程に華奢なしのぶを改めて感じて堪え切れずに瞳から涙が一滴頬を伝って落ちて行く。

「こら、泣くな……」
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