ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
「さ、座って……」

浴室から戻って来たしのぶに促されて、
毛足の長い絨毯の上に
二人差し向かいで座る。

「何か飲む?」

「――何が有るの?」

「そうね、コーラ、ジンジャーエール、
あとビール…かな…ウィスキーとかブランデーも
有るけど…未成年か」

そう言って垣間見せる隠微なしのぶの笑顔に
純は再びドキリとする。

そこまで言ってしのぶは
再び純の顔を覗き込む。

「ねぇ、あなた高校生でしょ?
イケナイ子…ダメよこんな
遊びを覚えちゃあ」

弟の悪戯をたしなめる姉の様な
彼女の態度に、純は反射的に謝った。

「す、すみません」

「でも……まぁ、いいわ。
陰に籠って変な犯罪に走るよりは
ずっと健康的よ。若者の勇気に敬服するわ。
ところで名前、教えてくれる?」
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