ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語

学校から帰宅した純は一人自室で考え込む。

「純君……」

背後から突然声を掛けられて、純は声の方向に視線を移す。そこに居たのは茜だった。

「夕食、準備したから、後で適当に食べてね」

茜の何時もの言葉に純はすまなさを込めて「ありがとうございます。ホントに、良いんですよ気を使ってくれなくても」と言いながら軽く一礼して見せた。

「ううん、良いのよ……ところで、あの…」

珍しく茜が口ごもり少し視線を落としながら、何か言いたげな表情を作って見せた。

「何ですか？茜さん」

　茜は俯いて暫く黙り込む。そして言え居らない笑顔を作って見せると

「ごめんね、やっぱり、いいや、忘れて…」

明らかに無理矢理表情を作った茜は足早に純の前から立ち去った。

「？」

その後ろ姿を眺めながら純は事情が理解出来ないまま、その場に立ち尽くした。