ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語

「ねぇしのぶ……」

純が妙に自信なさげな表情でしのぶの瞳をまっすぐに見ながら酷く真剣にこう言った。

「しのぶはセックスはちゃんと恋愛してする事に意味が有るって言ったよね」

しのぶは、そういえばそんな、もっともらしい事を純に言った覚えが有ったが、子供に対する大人の詭弁でしのぶ本人がそれを実践しているかと問われれば、かなりの割合で違うと言うわざるおえなかった。

「――そうね、そんな事言ったよね。純にはまだ分らないかも知れないけど……私は体ん関係から恋愛が始まる事なんて無いと思ってる。だから、あのお店で働く事も出来る」

純の純粋な瞳はまっすぐにしのぶを見詰めて居た。

「――純には悪いけど、私は純が思ってるほど出来た人間じゃぁ無いわ。それが証拠に、お金で体を売ってるのよ」

純は、その言葉に反応する事が出来なかった。