ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
そして、純の初体験は
少しほろ苦いものに終わった。

目的を達成する事が
出来ない純をしのぶは微笑んで見詰め、
小柄で華奢なその身をいっぱいに使って
純の若さを満たしてくれた。

店を後にした純の心には
複雑な思いが駆け巡る、
自分は「童貞」を卒業したんだろうかと…

掌を鼻にあてると、
ほのかにしのぶの残り香を感じた。
そして見上げる夜空の星は、
しのぶとの出会いを
静かに見守っている様な気がして
更に複雑な想いに迷い込む。

とりあえず女性の肌の感触を
感じる事が出来た。

そして、その相手が
しのぶだった事が少し嬉しかった。

営業用の態度なのかも知れないが
純にはそれが何故か嬉しかった。

そして星に想う、
今度は本当の恋人を
自分の力で誘うのだと…
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