ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
中庭の中央には大きな銀杏の木が植えられている。夕日の木漏れ日がきらきらと乱反射して夕暮れ特有の幻想的な景色を映し出す。純は、ゆっくりと、銀杏の木に向かって歩き始めた。
かさり……
下草を踏みしめる様な音がした。純はそこで立ち止まり、音の方向をじっと見詰める。そして彼女は銀杏の木陰から静かに姿を現した。小柄で栗色のポニーテルを揺らし、まるで森の中から現れた小動物のように少し怯えた瞳は、うっすらと潤んでいる様にも感じ取れた。
「西川……さん…ですよね?」
純の問いかけに少女は大きく頷いて見せた。
「――来てくれないかと……思った…」
涙交じりの震える声で彼女はやっとそれだけ言うと、崩れ落ちそうになるのを必死で堪えてその場に立ち尽くす。
純は彼女のその表情に一瞬どきりとして息を飲む。逆光の中、立ち尽くす彼女の姿はあまりにも華奢で脆く見えた。
「ごめん……手紙を開けたのが、家に帰ってからで…」
かさり……
下草を踏みしめる様な音がした。純はそこで立ち止まり、音の方向をじっと見詰める。そして彼女は銀杏の木陰から静かに姿を現した。小柄で栗色のポニーテルを揺らし、まるで森の中から現れた小動物のように少し怯えた瞳は、うっすらと潤んでいる様にも感じ取れた。
「西川……さん…ですよね?」
純の問いかけに少女は大きく頷いて見せた。
「――来てくれないかと……思った…」
涙交じりの震える声で彼女はやっとそれだけ言うと、崩れ落ちそうになるのを必死で堪えてその場に立ち尽くす。
純は彼女のその表情に一瞬どきりとして息を飲む。逆光の中、立ち尽くす彼女の姿はあまりにも華奢で脆く見えた。
「ごめん……手紙を開けたのが、家に帰ってからで…」