ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
踏切の警報器の音が止み、ゆっくりと遮断機が上がって、人の波が動き出す。しかし、そんな事に構う事無く悪友達は、純の周りで騒ぎたてた。そして、貴子達の集団に熱い視線を送っている。純の知り合いなら、ひょっとしたら自分達にもチャンスが有るのではと言う下心丸見えの表情に、純は大きく一つ溜息をついた。
★
学校からの帰り道、学校から駅まで向かう何時もの道すがら。駅前の商店街をなにげなく歩く純は、後ろから肩を叩かれた。
「こんにちは」
その声に反射的に後ろを振り向くと、そこに立って居たのは息を切らせて微笑む貴子の姿が有った。
「――あ、こ、こんにちは……」
ぎこちなく返事をする純の横に進み出る貴子の頬がきらきらと輝いて見えた。純の事を見かけて、慌てて駈け出したのであろう、うっすらと紅潮した頬は、ほんのりと温かそうだった。
「一緒に行って良いですか?」
貴子のまっすぐな視線はは純の心に突き刺さる。キューピッドが放った矢が心を射抜く瞬間と言うのは、こう言う感じなのだろうかと純は思った。ざっくりと刺さる感覚は、意外と衝撃的で、それでいて新鮮だった。
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学校からの帰り道、学校から駅まで向かう何時もの道すがら。駅前の商店街をなにげなく歩く純は、後ろから肩を叩かれた。
「こんにちは」
その声に反射的に後ろを振り向くと、そこに立って居たのは息を切らせて微笑む貴子の姿が有った。
「――あ、こ、こんにちは……」
ぎこちなく返事をする純の横に進み出る貴子の頬がきらきらと輝いて見えた。純の事を見かけて、慌てて駈け出したのであろう、うっすらと紅潮した頬は、ほんのりと温かそうだった。
「一緒に行って良いですか?」
貴子のまっすぐな視線はは純の心に突き刺さる。キューピッドが放った矢が心を射抜く瞬間と言うのは、こう言う感じなのだろうかと純は思った。ざっくりと刺さる感覚は、意外と衝撃的で、それでいて新鮮だった。