ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
「み~た~ぞ~……」
純の心臓が一瞬凍った。悪戯っ子の様な表情をして買い物帰りなのであろうかレジ袋をぶら下げて仁王立ちするその女性は、
…茜だった。
茜はくすくす笑いを必死で堪えて純の傍らにすり寄る様に近付いて来ると、彼の耳元に顔を近づけ、まるで悪だくみでもする様なひそひそ声で興味深々こう言った。
「あれが、噂の貴子さんかい?」
往来の中で茜の行動はとても怪しく見える。純は人目を避ける為に歩道横の小さな公園に茜を引っ張り込んだ。
「――な、なんだよ、急に……」
純はバツの悪そうな表情で茜の視線を避ける様に、あらぬ方向をきょろきょろと見回しながら小さな声でそう言った。
「なによ、恥ずかしがる事無いじゃない」
「は、恥ずかしいなんてそんな……」
純はまっすぐな茜の瞳を見詰める事が出来なかった。
純の心臓が一瞬凍った。悪戯っ子の様な表情をして買い物帰りなのであろうかレジ袋をぶら下げて仁王立ちするその女性は、
…茜だった。
茜はくすくす笑いを必死で堪えて純の傍らにすり寄る様に近付いて来ると、彼の耳元に顔を近づけ、まるで悪だくみでもする様なひそひそ声で興味深々こう言った。
「あれが、噂の貴子さんかい?」
往来の中で茜の行動はとても怪しく見える。純は人目を避ける為に歩道横の小さな公園に茜を引っ張り込んだ。
「――な、なんだよ、急に……」
純はバツの悪そうな表情で茜の視線を避ける様に、あらぬ方向をきょろきょろと見回しながら小さな声でそう言った。
「なによ、恥ずかしがる事無いじゃない」
「は、恥ずかしいなんてそんな……」
純はまっすぐな茜の瞳を見詰める事が出来なかった。