ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
純は貴子の言葉に対する返答に戸惑う。

なぜならば、彼女の言葉を聞いて、自分一体どうなのだろうか、そんな疑問にぶつかったからだ。保はバイクに情熱を燃やす。その他の友人達もバスケットだ野球だ科学だと自分の明確な居場所を持っていて独自の世界観を持っている。

自分はどうか…どこの部に所属するでもなく、自堕落に無駄に時間を過しているだけではないか、何かしなければいけないのではないか、そんな気持ちに襲われたのだ。

「西山さんは、やっぱり、何か目標を持ってる奴たちの事が魅力的に見えるの?」

純の口を衝いて出た疑問は酷く愚問で有る事を理解してはいたが何故か、言葉が先に出た。

「――うん、そうね。何かを一生懸命やってる人の瞳は好き。どんな事でもよ、少なくとも、無気力に何もしない事をよしとする人よりは好き…ただ…」

「――ただ?」
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