空しか、見えない
 思い出のもの、おしゃもじは、千夏とのぞむが忘れてきたから、5本しかない。小さなテーブルの周囲に車座になり、氷砂糖が並べられた。それと、環が用意してくれた人数分のしおり。
 マリカが、畳の間に膝をついてお茶を淹れてくれるが、

「せっかくだからさ、ビールでも飲むか」

 環は、そう言ってフロントに電話をかけた。
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