空しか、見えない
「義朝のお母さん、真っ白いエプロンつけてさ、トレイに紅茶ものせて、どうぞって運んできてくれるのな。だけど義朝の方は、こっそりポテチとか買いに行っててさ、罰当たるぞって俺言ったんだ」

「そういう言い方はやめろよ」

 のぞむの何の気はないはずの思い出話が癇に障ったのか、環は片方の眉をひくつかせた。
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