空しか、見えない
 確かにのぞむは、人の心がわからない男だったのだと佐千子は思う。背の高さだけじゃなくて、性格もぬぼーっとして、物事を大して考えていない。仲間たちの中にいると余計に浮き彫りになる、のぞむのキャラクターを、佐千子はそうやってまとめあげる。まとめてどうするつもりなのかは、自分でもわからない。ただそうやって刻印を押し、思い出のアルバムにでも収納してしまいたいのだ。
< 164 / 700 >

この作品をシェア

pagetop