空しか、見えない
 のぞむが何を話しても、佐千子が気になってしまうのは、どうしてもついさっき彼が口にした、ルームシェアをしているという中国人女性の存在だった。
 誰かが尋ねるのを、じりじりと待っていた。純一は、アパートメントのある地区だけを訊ねた。

「どの辺りなの?」
< 207 / 700 >

この作品をシェア

pagetop