空しか、見えない
あまりに唐突だった。ニューヨークにいるらしいのは知ってはいたけれど、中国人の女の子と一緒に住んで子どもまで授かっていたなんて、知る由もなかったではないか。のぞむがそんな時間を過ごしていたとは露とも知らずに、自分の方は毎日悶々とした気持ちを抱え、同じ場所で同じ往復を繰り返していた。のぞむが、いつか逞しくなって、また自分のもとに帰ってきてくれるような気がしていた。