空しか、見えない
 どうして勝手にそう思っていたのかは、わからない。特別、自信家なつもりも、楽観的な性格でもない。でも、佐千子にとってはのぞむが人生で出会ったはじめての、そしてたったひとりの男だったからかもしれない。離れているのに、どこかでつながっているような気がしていた。単なる、思い過ごしだったのだ。
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