空しか、見えない
 別れ際に、環が口にした言葉ははっきり覚えている。

「なあ、今度はどうする? また、みんなで集まらないか」

 運転席の純一が、目を細めて親指を立てた。

「いいね。じゃあ次は夏かな。のぞむも帰ってこいよ。もう誰も欠席はなしだ」

 フーちゃんも続いた。

「遅刻もね」

 目の下に指をあてて、誰にともなくアッカンベーまでしたフーちゃんだった。
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