空しか、見えない
 芙佐絵にとっての岩井海岸は、落胆の旅ともなってしまった。
 けれど、自分にいいところがあるとすれば、根っから単純でくよくよしないところなのだ。
 夏の遠泳までに泳ぎ込んで、この際、最近すっかり溜め込んでしまった贅肉も引き締めておきたい。
 まあ、そういう意味で皮肉にも吉本の言う通りなのである。
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