空しか、見えない
「どうしてもジムがいいなら、私のことも誘ったらいいでしょう? それで、どこかでランチをして、帰りましょう」

 自分の方へ近寄ってくる由乃を、純一は隣に座らせた。どうしていいのかわからず、両手を握る。一瞬、天井を見上げると、義朝の笑顔が浮かんだような気がした。彼の真似をして、えへらえへらと笑ってみるかと純一は思う。

「由乃も今日は、少し気分転換しておいで。まだ婚約中なんだから、今のうちにご両親にももっと甘えておいでよ」
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