空しか、見えない
「どうして、私を邪魔にするの?」

「邪魔になんかしていないさ。ただ、君がレッスンに集中している間に、少し泳いでこようとしただけだ。ここからジムへなら、車で十分もかからないんだよ。そうだ、帰りに由乃の大好きなレモンのパイを買ってくるよ」

 隣で頭を振っているのが見えた。

「あれ以来だもの。純一さん、岩井海岸へ行くまで、そんなことなかったわ。私を邪魔になんかしなかった。どこへ行くんだって、一緒だったでしょう?」
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