空しか、見えない
 咀嚼したサンドイッチを紅茶で飲み込むと、佐千子は皿を下げて、改めてメールボックスをクリックする。

〈I am Rue.I am roommate of……〉

「何よ、ルームメイトだから何だって言うの?」
 ひとりの部屋で声に出して呟きながら、佐千子はその長いとも短いとも言えない英文のメールを、頭の中で翻訳しながら読んでいった。

〈急なメールで、たぶんあなたは驚いていると思います〉

 その呼びかけにもまた、「当たり前だわ」と、返事をしてしまう。
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