空しか、見えない
〈でも、私の方はいつかあなたとこうしてつながってみたいと思っていました。
 あなたは私について、何も知らないのかしら? のぞむは、何も話していなかったのかしら。私はあなたについて、のぞむから少し聞いていました。SACHI、あなたはのぞむの恋人、のぞむの心の中のとても大切な人。のぞむがいつも写真を持ち歩いている人。そして、今日は寝言でも、あなたの名前を幾度も呼んでいたわ。サチ、サチって言っていた。だから日本での再会は、きっととても素敵だったのでしょうね?〉

「寝言って、何よ」

 佐千子の心臓は、なお激しく打ち続けている。
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