空しか、見えない
 ニューヨークへは行ったことはないけれど、空港からまっすぐ救急車で運ばれていくのぞむが目に浮かぶ。入院しているのだ。そばにはルーがついていて、iPhoneまで彼女に託したというわけだ。
 幾らルーが、自分がのぞむの大切な恋人だと書いてきたって、自分はのぞむ本人からは、どんな思いも伝えられていない。今回、入院したことすら伝えられていない。
 どうしたらいいというのだ。すぐにでも駆けつけたいような気持ちは、すぐに泡のように萎んでしまう。まるで、ルーに自分の心を試されているような気がする。
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