空しか、見えない
「ちょっと見せて」

 純一は真顔になると、グラスをテーブルに置き、画面を自分の方へと向けた。画面からこぼれる灯りが、純一の整った細い顎を照らす。
 ぶつぶつ読みながら、純一は最後に長いため息をついた。

「まあ、いわゆる宣戦布告って奴かな。そうとも取れるし、少し優しく言えば、私はあなたの気持ちを優先してこれからのことを考えたいと言っているようでもあるし……」

「どういうこと?」

 千夏も画面を覗きながら、ところどころ純一に訳してもらいながら、最後まで読み終える。
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