空しか、見えない
「ちなみに、向こうの人も同じ目標のはずなんですけど」

 千夏は、何往復目なのか、ターンで丸いお尻を見せている。

「いや、あちらの方は確か、体重のこと言ってましたけどね」

「まあいいわ。そういうタイプですから、彼女は」

 とても気が合いそうなインストラクターとは思えなかった。けれど、目の前の体は見事だった。逆三角形の上半身の胸筋が、時折自慢気に動いた。背中の筋肉だってすごい。
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