空しか、見えない

　そう、どっちかしかないのは、わかってる。のぞむへの思いを、どうするか。だけど、もう少しルーと会話してみたい。ルーを通じて、もう一度のぞむに出会いたいのかもしれない。
　おめでたいのかもしれないけれど、もはや、誰かひとりがよければいいわけではないのだと思う。のぞむにとって、佐千子にとって、そしてルーや坊やにとって何がよいのか、見えるときがあるような気がする。
　のぞむとは、もうただの友達になろうとしていたはずなんだから。寝言で自分の名前を何度も呼んだなんて、信じられないんだから。