空しか、見えない
 呆然とリビングに座り続けていた。CDも、おしまいになり、グラスの氷も完全に溶けているのに気づかなかった。
 壁の時計は、深夜の1時を回ったところを示している。
 ようやくパソコンの前に座った。

〈千夏?
 私はバカです。自分の好きな人がわかりません。好きでもない人に、抱きしめられたいと感じたりしています。 サチ〉

 目をこすり、千夏にメールを書き送ると、余計に自分が情けなくなった。
 まるで、書き送ったメールがかぎ針になって糸をたぐり寄せてきたように、サチのメールボックスは、続けて幾つかを受信した。
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