空しか、見えない
 読んでいるだけで、また胸が重りを呑み込んだようにつかえを覚えた。
 じっと待っているだけで寂しいなんて、のぞむはこんなにも愛されているのだ。
 一度緩んだ涙腺は、なかなかうまく止まらず、パソコンの前に座ったまま、サチの頬に涙が伝った。
 ルーは、愛情深く、毅然として、自分よりずっと心の器の大きな人に思えた。少なくとも、どうしていいかわからずに、環に抱きしめられようとした自分とは、まるで違った、覚悟の深い人なのだ。
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