空しか、見えない
 勝てっこないと思う。
 だったら、せめてのぞむをそっと応援してやれる仲間になりたい。
 のぞむは今、必死に助けを求めてもがいているに違いないのだ。
 のぞむにはルーがいて、自分はルーには負けた。そう思うと、何だか妙にアクが抜けたような、長年の重荷から解放されたような、せいせいとした気持ちになった。
 また泣きたいような気持ちをなだめてくれたのは、やはりさきほどの環との抱擁の名残だった。
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