空しか、見えない
「ねえ、千夏、フーちゃん、私たちもがんばろうね」と、グロスで輝く唇で言う。

「それで、サセたちは、結局、どうなったの?」
 
 フーちゃんがそう訊ねかけたとき、急に環が立ち上がった。

「俺、俺さ、みんなの前で言う。俺だって、サセが好きだから」

「ふーっ」

 マリカたちがため息をつく。

「のぞむの奴が、サセを放っておくから、俺、全然諦めがつかないよ」

 誰も返事ができず、困って前を向いていた。まゆみにいたっては、背中を向けてグラスを拭いた。
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