空しか、見えない
「私ね、だからのぞむを庇いたい気持ちもあるのよ」

 マリカは今度は穏やかな口調で話し出した。

「いろいろあっても、今、それ口にしたら、終わりだっていう気持ちがあるような気がする。もう二度とがんばれなくなる。外国で暮らすって、登山とか、そうよね、遠泳にも似てるんじゃないかな。じゃあ、なんでわざわざやるの? って。誰に強制されたわけでもないのに、わざわざ自分で決めてやるんだもん。かっこつけて、きばっていたいっていうか」

 マリカの熱弁を、フーちゃんがからかう。

「だからってあの水着は、きばりすぎー」
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