空しか、見えない
千夏は店から出ると、2次会に向かうメンバーたちから離れて、ひとりになった。朝から気になっていた携帯電話をポケットから取り出すが、やはり着信もメールの受信もない。
大晦日も新年も、何の連絡も寄越さない男。クリスマスも、イブもそうだった。
〈新年の挨拶くらいさせてね〉
千夏のそんなメールにすら、迷惑だとでも言いたいのか、返信もしてこない。
それでもむきになって一度コールしかけ、千夏は自分の方から通話を切った。心臓が激しく高鳴った。