空しか、見えない
メーク道具はないから諦めて、グロスだけつけて待ち合わせの場所へ行くと、もう純一が白ワインを飲みながら、待っていた。
「こっち」と、手をあげてくれる。
「サセ、ずいぶん本格的な格好じゃない。やるとなったら、サセは真面目だからな」
「だって、どう考えたって、一番出遅れそうなのは私なんだもの。ハッチの頃だって、みんなの足をどれだけ引っ張ったかわからないし」
「そうだったかな」
Vネックのセーターの首に、淡いグレイのコットンのマフラーを巻いた純一は、優しく笑ってくれた。
「こっち」と、手をあげてくれる。
「サセ、ずいぶん本格的な格好じゃない。やるとなったら、サセは真面目だからな」
「だって、どう考えたって、一番出遅れそうなのは私なんだもの。ハッチの頃だって、みんなの足をどれだけ引っ張ったかわからないし」
「そうだったかな」
Vネックのセーターの首に、淡いグレイのコットンのマフラーを巻いた純一は、優しく笑ってくれた。