空しか、見えない
「あのさ、サセ、悪いんだけど、私ジム移ることにしたのよ。サセとは少し違うところに、しばらく通いたいんだ」

「どういうこと?」

「別に、今言った通りだけど……じゃあ、まだ更衣室だから悪いけど切るね」

「待ってよ、千夏、今純一とね」

 通話がぶつっと途切れてしまった。
 純一が、訝しげにこちらを覗き込んでいた。
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