空しか、見えない
 ふたりでずいぶん飲んだ。ビールからジンバックへ、それから赤ワインの一番安いのをふたりで2本も開けた。
 立ち飲みバーでそんなに飲むなんて千夏にははじめてだったけれど、アメリカ仕込みなのか、長身ののぞむはカウンターに肘をかける姿も様になっている。

「どうして、サセと別れたんだろうね? あんたたちって、お似合いのカップルだったのに」

 千夏は、ほろ酔いで問いかける。
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