空しか、見えない
「あー、ばからしい。ばからしくて、やっぱり、怒る気になんないよ」
佐千子はそう言って、腕時計の針を見る。千夏の手に、自分の手を重ねる。
「ねえ、行こう。まだ間に合うもん。やっぱ、今日も泳ごうよ」
「いやです、準備もしてきていないし」
「ジムで借りたらいいでしょ? 私、この辺りで千夏にも見てほしいの。だって、まだ全然泳げてなくて」
「だったらさ、サセ、環にも都合を訊いてみようよ。あいつのジムの方がずっと近いし、泳ぎだって、あいつなら見てくれるはずだし」
千夏が、返事も訊かずに、バッグから携帯電話を取り出す。佐千子の方が躊躇していると、もうコールして耳にあてている。
「うんうん、そうなの、サセと一緒。OKだって」
指で輪を作って返してきた。
佐千子はそう言って、腕時計の針を見る。千夏の手に、自分の手を重ねる。
「ねえ、行こう。まだ間に合うもん。やっぱ、今日も泳ごうよ」
「いやです、準備もしてきていないし」
「ジムで借りたらいいでしょ? 私、この辺りで千夏にも見てほしいの。だって、まだ全然泳げてなくて」
「だったらさ、サセ、環にも都合を訊いてみようよ。あいつのジムの方がずっと近いし、泳ぎだって、あいつなら見てくれるはずだし」
千夏が、返事も訊かずに、バッグから携帯電話を取り出す。佐千子の方が躊躇していると、もうコールして耳にあてている。
「うんうん、そうなの、サセと一緒。OKだって」
指で輪を作って返してきた。