空しか、見えない
「佐千子も、のぞむが、わけわかんなかったんじゃないの?」

「まあね。とにかくよくなかったよ。せっかく、仲間たちだったはずなのにさ、離れるのもよくないけど、そもそもくっついた俺たちってよくなかった。なあ、千夏、今日は、とことん飲もうぜ」

 千夏はのぞむに肩を組まれ、夜の街へと流れた。
 車のテールランプの灯りが、千夏にはいつもより煌めいて、遥か彼方まで広がっているように見えていた。
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