空しか、見えない
まゆみは、日頃の食事がどうしても不摂生になるので、朝は水分だけたくさん摂る。にんじんやりんご、セロリなどで作る野菜ジュースを大きなコップに1杯。それから、身支度をすべて終えてから、コーヒーメーカーでコーヒーをいれる。
窓辺に置いた義朝の写真の前にも、デミタスカップに注いで、置いておく。
「じゃあね、行ってきます」
まゆみはそう言うと、大きな鞄を肩にかけて出かける準備をする。
行き先は、まだ義朝しか知らない。ずっと誰にも言わないうちに終わるかもしれない。それでも構わないと彼女は思う。
マンションの外で、自転車にまたがる。朝の光が目に染みるのは、夜の仕事の人間の性だ。
でも、一所懸命自転車を漕ぎ始めると、朝の光を織り込んだ風がまゆみの頬を撫でていくように感じる。空から義朝が見ていてくれるような気がする。
「がんばりすぎるなよ」
彼なら、年上の自分に、威張ったようにそう言ったかもしれない。
窓辺に置いた義朝の写真の前にも、デミタスカップに注いで、置いておく。
「じゃあね、行ってきます」
まゆみはそう言うと、大きな鞄を肩にかけて出かける準備をする。
行き先は、まだ義朝しか知らない。ずっと誰にも言わないうちに終わるかもしれない。それでも構わないと彼女は思う。
マンションの外で、自転車にまたがる。朝の光が目に染みるのは、夜の仕事の人間の性だ。
でも、一所懸命自転車を漕ぎ始めると、朝の光を織り込んだ風がまゆみの頬を撫でていくように感じる。空から義朝が見ていてくれるような気がする。
「がんばりすぎるなよ」
彼なら、年上の自分に、威張ったようにそう言ったかもしれない。