空しか、見えない
「だーめ、ここまで。環には何か、ミルクセーキとかそういうのをお願いできますか? カルシウムのたっぷり入ったの」

「それでは、特製をサービスしましょう」

 まゆみは、笑みを浮かべてグラスを受け取る。

「最悪。サセが、うるさい母親みたいに見えてきたよ」

 環が、恨めしそうな顔をする。

「そうよ、サセなんかと一緒になったらね、あんた、ずっと尻に敷かれちゃうわよ」

 千夏はそう言いながら、つまみのセロリのスティックをむしゃむしゃと食べる。
 環以外、みんなたっぷり泳いだ帰りで、土曜日は三々五々、まゆみの店に集まってきて最後を締めるのが、恒例になろうとしている。

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