空しか、見えない
宿の敷地の門を出る。海へと続く細い道をぷらぷらと歩き出す。暗黙のうちに、海を見ていけということらしい。
夏のシーズンになると、岩井海岸のいたるところに点在する宿という宿から、水着姿の子どもたちが、それぞれの小道を、隊列を組んで、海へと向かって歩いていく。
でも、今はまだ人影もまばらで、地元の人にしか出会わない。
松林。まだ光は優しい。海からの砂が、道路にこぼれている。
目の前が急に拓ける。
なんて穏やかな海なのだろう。親指と人差し指で、ゆるやかに緩く弧を描いたような形の内湾だ。だからより愛おしく思い出すのかもしれない。この海に、自分たちは泳いだのだというふうに。
夏のシーズンになると、岩井海岸のいたるところに点在する宿という宿から、水着姿の子どもたちが、それぞれの小道を、隊列を組んで、海へと向かって歩いていく。
でも、今はまだ人影もまばらで、地元の人にしか出会わない。
松林。まだ光は優しい。海からの砂が、道路にこぼれている。
目の前が急に拓ける。
なんて穏やかな海なのだろう。親指と人差し指で、ゆるやかに緩く弧を描いたような形の内湾だ。だからより愛おしく思い出すのかもしれない。この海に、自分たちは泳いだのだというふうに。