空しか、見えない
岩井の画像は、空と海の境がわからないほど青かった。本当に清々しい青が、一面に広がっているような日だった。
けれど帰り際のこと、水上バイクが2台、もつれ合うように、轟音をあげて、海の上に輪を描き、走っていった。
海はみんなのものだ。それぞれの愉しみ方があって、それぞれに思い出がある。彼らが悪いわけではないが、なぜ海には速度違反がないのだろう。ごじべえさんも、我が物顔で走り回る水上バイクには、目を背けた。
〈皆さん、スピード違反には気をつけましょう。助手席で純一を煽ったことを、心から反省しているサセより〉
ハッチのメンバー全員とまゆみに送り続けているはずのサセ新聞も、発行10号を数えていた。