空しか、見えない
 けれど、今日はそんなやるせない気持ちではない。もうじきサセも合流するはずだし、フーちゃんの泳ぎにも、さっきから驚かされてばかりだ。ずいぶん力強く水をかき、ターンをする都度、速度もぐんぐんあがっていくようなのだ。
 その気配に、千夏も負けじとスピードをあげていく。

「さすがですね、ふたりとも、ずいぶん泳ぎ込んでるな。千夏さん、この調子なら、4キロの遠泳、全然、行けそうじゃないですか」

 ジムのインストラクターが、プールサイドを歩きながら、声をかけてくる。
 息は苦しいが、あと100m泳ごう。一往復したら休憩にしようと、千夏は最後の力を振り絞って泳ぐ。
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